圧力計の選定
圧力計の選定の仕方
- 圧力計の選定は最初に用途を決めます。
もっとも一般的な圧力計は、指針による圧力指示のみの製品で使用環境は下記の条件です。- 周囲及び圧力媒体温度 : -5~45℃
- 周囲相対湿度 : 5~95%
- 飛まつ(雨、雪、あられなど)なし
ウォーターハンマ―等の瞬間過大圧には注意して下さい。
通常媒体は空気・水・油などですが、酸素・アンモニア等注意が必要なものがあります。(1.使用媒体の注意点 参照)
使用環境によって、耐振用・耐熱用・蒸気用など付加できる機能があります。(2.一般的な圧力計の付加機能 参照) - 次に圧力計の形状を決めます。
ケース形状は縁の有無(パネルに取付ける場合は縁有り)、接続部の位置(配管の圧力導入口の向きが上方向又は手前方向など)で種類が分かれます。
(3.ケース形状と名称 参照)(4.接続部形状 参照) - 接続部の材質とねじ形状、サイズを決めます。
材質は、銅合金とステンレス(耐食用)の2種類あります。
弊社では材質の選定は行っておりません。ご使用媒体に耐食性のある材質をご選定下さい。
ねじの形状は、管用平行ねじ(G)・管用テーパねじ(R)・ユニファイねじ(7/16-20UNF)等があります。(5.ねじ形状 参照)
サイズは、1/8インチから1インチまで7種類あります。(6.ねじサイズ 参照) - 一般的な圧力計以外の用途としては、接点付圧力計・隔膜式圧力計・デジタル圧力計などがあります。(7.圧力計の種類 参照)
1.使用媒体の注意点
- 酸素
酸素は圧力計内部に残っている油分と反応して発火、爆発の危険があります。
禁油および禁油禁水仕様としてください。 - 塩素
塩素は黄銅・銅について水分と化合して塩酸を生成し腐食させるので、隔膜式の仕様が絶対条件です。 - アセチレン
アセチレンは銅と化合して爆発しやすい物質を作るので、接液部は全て銅の含有量が60%以下のものを使用しなければなりません。 - アンモニア
アンモニアに接触する部分は、鉄鋼又はステンレス鋼を使用し、銅合金は絶対使用してはいけません。 - 粘着性流体
導入口が詰まり圧力計が動作しなくなり不具合が発生する可能性がありますので、導入口の大きいもの又はフラッシュダイアフラムタイプの隔膜式圧力計を選択して下さい。 - 腐食性流体
圧力計の接続部を侵す強腐食性流体については、一般的に隔膜式圧力計が使用されます。
隔膜部の接液部材質は色々な材質で製作可能ですので耐食材質を選定して下さい。 - 周囲の雰囲気
雰囲気として塵埃・雨水・塩分を含んだ空気のある場所、その他アンモニア・特殊腐食性ガスなどがある場所には密閉形圧力計を用います。
またケース自体が腐食性ガスにおかされる場合がありますので、プラスチック・ステンレス・アルミ合金などから用途に適した材質を選定して下さい。
2.一般的な圧力計の付加機能
- 蒸気用
環境温度が10~50℃の場所に取り付けて使用しますが、圧力媒体が運転開始時の水蒸気のような、一時的に100℃の高温となる場合にも耐えうるものをいいます。
用途による種類の記号はMとする。
パイプサイフォン等を設けて使用します。 - 耐熱用
環境温度が最高80℃になる場所に取付けて使用するものをいいます。
用途による種類の記号はHとする。
80℃を超える受圧媒体の場合は、圧力計と配管の間に温度を落とす装置(パイプサイフォン、タンクサイフォン等)を設けて下さい。 - 耐振用
振動および脈動圧の影響で指針の変動が一般の条件を超える条件で使用するものをいいます。
用途による種類の記号はVとする。
条件の厳しい環境では、グリセリン入圧力計またはタートルゲージをお勧めします。
特に振動の激しい場所や脈動圧の激しい場所では必ず適当なダンパーを取付ける、あるいは振動のある場所より離して設置してください。 - 蒸気・耐振用
蒸気用、耐振用の両方の条件下で使用に耐えうるものをいいます。
用途による種類の記号はMVとする。 - 耐熱・耐振用
耐熱用、耐振用の両方の条件下で使用に耐えうるものをいいます。
用途による種類の記号はHVとする。 - 禁油
媒体が油分と反応して発熱や爆発などの危険が生じる場合、接液部に油脂類がないように処理します。 - 禁油禁水
媒体が油分と反応して発熱や爆発などの危険が生じる場合、接液部に油脂類及び水分がないように処理します。 - ヘリウム検査(高気密性)
通常の耐圧検査では発見できない微小な漏れをヘリウムガスで検知し、気密性の高い圧力計を提供します。
3.ケース形状と名称(弊社型式及び名称)
形状/名称 | ケース形状 |
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A 縁なし形 |
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B 丸縁形 |
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C 切り縁形 |
形状/名称 | ケース形状 |
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D 埋込形 |
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AD 埋込形 [縁なし] |
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FD 埋込形 [前縁] |
※ 埋込形の接続部中心取り出し(D3形、D4形)も機種によっては製作可能です。
ケース形状(JIS規格)
4.接続部形状
T(四角) | U(二面) | S(六角) |
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5.ねじ形状
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管用平行ねじ G(JIS B 0202)
相手側の底面にパッキンを入れ、圧力側のおねじを取付けます。 -
管用テーパねじ R(JIS B 0203)
おねじとめねじのねじ間でシールテープ、シール剤を使用して取付けます。 -
その他
7/16-20UNF及びNPTなどのねじ製作も可能です。
取り付けの際、必ずスパナ等を接続部形状に掛けて締め付けて下さい。
6.ねじサイズ
1/8、7/16、1/4、3/8、1/2、3/4、1“
- 1/8は5MPa、7/16は7MPaが製作圧力上限となります。
- 3/4、1“ねじは、隔膜式圧力計にて製作可能です。
7.圧力計の種類
- 隔膜式圧力計
ブルドン管、接続部の材質を侵す受圧媒体の場合、受圧媒体と圧力計の間にダイアフラムを設置し、その間に封入液を入れて間接的に圧力を測定するようにした圧力計。
ダイアフラムなどの接液部の材質は受圧媒体に侵されないものを選定する必要がある。 - グリセリン入圧力計・タートルゲージ
振動、脈動がある受圧媒体を測定する場合、指針の振幅が大きく読取りが困難になるだけでなく、圧力計の寿命を短くする原因になります。
これを抑制するために圧力計内部(ケース内部)にグリセリンを充填したグリセリン入圧力計、内部機構に伝達する脈動圧を抑制し指針の振れを安定して読み取れるタートルゲージがあります。 - 接点付圧力計
圧力値により電気接点信号を得たい場合に用いる圧力計で、用途に応じマイクロスイッチ接点出力(制御用、警報用)や指針コンタクト接点出力(警報用)がある。出力数として
上限接点、または下限接点の一方を備えた1接点用
上限接点と下限接点の両方を備えた2接点用
を選択できる。 - 双針計
圧力ポートが二つあり、同一計器内で2箇所の圧力が同時に測定できる圧力計。 - 差圧計
圧力ポートが二つあり、圧力の異なる2つの圧力差(基準圧との圧力差)を測定できる圧力計。 - その他
圧力センサを用いた圧力伝送器、デジタル圧力計、デジタル指示計等があります。
詳細はカタログをご参照ください。